最近はデータ分析なんての生業にしてるので思わずタイトルに釣られて買った本。
でも書名の『できない人ほど、データに頼る』は第1章の見出し語であって、原著名は『See,Feel,Think,Do』。直訳すると「見て、感じて、考えて、実行する」。このフレーズは本文中に頻発します。
データを妄信することの問題点を指摘する着眼点は間違ってないけど、原著がイギリスで出版されてることもあって海外の事例ベースなのでややイメージしづらいかな。日本人に馴染みのある事例が少ないので。
あと翻訳書にありがちな冗長な言い回しが多くて少しクドい。
本文を通して読むと分かるんだけど、『できない人ほど、データに頼る』は逆説的な比喩なので書名はちょっと煽り過ぎな気がする。
全体的な方向性がMBA(ビジネススクール)の定量的・計数化手法だけで事実を捉えようとする考え方に警鐘を鳴らしているので、いっそのことMBA的科学的評価方法の問題点と対比する構成のほうが分かりやすかったかも。
とはいえ、マーケットリサーチの限界点についての記述は、まさに自分がデータ分析だけで知りえないことをアンケートで補おうとしているところだったので陥りがちな盲点を指摘してくれていたのはありがたかったです。
顧客が何を知らないかを、企業の担当者本人が分かっていない
→顧客は何が嫌いかを伝えることはできます。しかし、どうすればよくなるかという改善点については滅多に口にしてくれないものなのです。
この本に顧客ニーズのすべてやその解決方法が書かれているわけではないし、必ずしも(少し古い事例も掲載されているなど)記述が適切でないと思える箇所もあるけど、「本当にこれでいいのか?」と考えるきっかけにはなります。案外と答えは自分の中にあるものだったりするので。まずは「考えて」みないとね。
以下、個人的に思うところがあってマーキングした箇所です。
アンディ・ミリガン ショーン・スミス
ダイヤモンド社
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