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2012 .07 .25

「貧乏なひととは、いくらあっても満足しない人」

リオ会議でもっとも衝撃的なスピーチ:ムヒカ大統領のスピーチ (日本語版)(Hana.bi)
ウルグアイのような小国の大統領は最後の演説者でした。彼のスピーチの時にはホールにはほとんど誰もいません。そんな中、カメラの前で残したスピーチは、その前まで無難な意見ばかりをかわし合う他の大統領とは打って変わって、赤裸々に思っていることを口にしています。世界で最も「貧乏」な大統領と言われているエル・ペペ(愛称)が世界に対してどんなメッセージを残したのでしょうか。
やっぱり深く考えさせられるものがあるので備忘録的にエントリー。

ムヒカ大統領は社会主義思想の人ということなので、資本主義の黄昏が見えつつも、なお全世界を覆い尽くす勢いで拡大する現代において、彼のスピーチはヒトの欲を原動力とする資本主義グローバリゼーションに真っ向から対峙する印象を受けます。

かつて資本主義を産み出し、その成長を支えた欧米各国とその同盟国だけを見てもアンコントローラブルな景気後退に長く苦しむ現状においては、彼が述べた内容は簡単に受け入れ難い理想論であっても、身につまされ、心に刺さるものがあるでしょう。
資本主義の反省とも取れる彼のスピーチが少しでも心に響いたのなら、一つひとつの各論に反論するのではなく、どうすればより良い社会を、個々人の幸せを得られるのかそれぞれが考えるキッカケとすることなのだと思います。

逆に言えば、一体何がぼくらを不安にさせているのか、幸せでないと感じさせているのかを考えることなんだろうとも思います。

彼が言うように石器時代に戻る必要はない。だって人間は不断の努力で飢えや生存競争といった不安を克服してきたもの(世界的にはまだまだ克服し切ってないけど)。
「貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」
ムヒカ大統領が引用したこの言葉、改めて言われなくても「腹八分」「足るを知る」といった言葉をぼくらは昔から知っている。けど経済成長の対価として大量消費社会を過ごすうちにだいぶ忘れてしまい、そして頭打ちの社会で不安に喘いでいる。

ぼくはキリスト教徒ではないけど、「七つの大罪」なんて戒めは資本主義より遥か昔からあるわけですよね。どれも足るを知らない欲望から生み出されるものです。
  1. 傲慢(pride)
  2. 嫉妬(envy)
  3. 憤怒(wrath)
  4. 怠惰(sloth)
  5. 強欲(greed)
  6. 暴食(gluttony)
  7. 色欲(lust)

文明を捨てる必要はないし、世捨て人のような暮らしを良しとするわけじゃない。
けれど、アレもコレもと際限なく求める姿はかっこわるいなあと感じるのです。

まあ矛盾を内包するのも人間の弱さであり、本質かも知れない。そういうことも踏まえつつ、自分が出来る範囲で「足るを知る」生き方に切り替えていきたいな。

そういったことを考えさせられたムヒカ大統領のスピーチでした。

▼参考リンク
国連持続可能な開発会議(リオ+20)(外務省)

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