震災がれき受け入れ「拒否の理由」
時論公論 「がれき受け入れ"拒否"の理由」(解説委員室ブログ:NHK)横須賀市の大楠地区が、現時点では(と書かせていただきますが)震災ガレキの「受け入れ拒否」という結論に至った背景を解説した記事。
ニュース解説「時論公論」です。
難航していた震災がれきの「広域処理」がようやく動き出しました。国が新たな対策を打ち出したことで受け入れを表明する自治体が増え始めたのです。しかし問題はこれからです。市長や議会が決断しても地元住民との話し合いはこれからで、特に最終処分場周辺の住民の抵抗感は小さくないと見られるからです。今夜は、苦悩の末「受け入れ反対」を表明した地域の実情を見て、どうしたら乗り越えられるのかを考えます。
結論からなんだけど、マスメディアかくあるべしという良記事です。
東京都がいち早くガレキ受け入れを表明したニュースに触れて、ぼくは石原さんの「放射線が出ていれば別だが、皆で協力して力があるところが手伝わなければしようがない」という発言に対して賛意を表したけど、これは一方の見方でしかなかった。
「被災地の支援をしないとは何ごとだ!」というような集団ヒステリーとも言うべき雰囲気を作ってはいけないということ。それは思考停止に他ならないと思う。
そして記事は、大楠地区が「受け入れ拒否」に至ったもう一つの(そして直接的な)原因として、県内限定とする持ち込み範囲と、県と地元とで直接協議するというこれまでの約束が反故にされたことに触れています。
ちょっと引用が過ぎてしまったけど、、、受け入れを求める側、受け入れを求められる側と、双方の事情・背景を取材したからこそ見えてくる経緯と事情があります。
やはり一方からの見方だけではダメだし、感情論に陥ってしまってもいけない。
神奈川県のケースも最終的には「決める」しかないわけだけど、結論に至るまでの当事者双方の対話はないがしろにはできない。そして報道を通して情勢を知るぼくらも、それが一方の都合に偏っていないか、考えを及ぼすことが必要でしょう。
当事者双方の背景を取材した上で論説する、また追跡取材を続けて伝える、という姿勢があるメディアは(盲目的にではなく)信頼できると思います。
自分の考えの表し方もそうでないと、と自戒を込めたエントリーでした。
▼関連エントリー
・東京都、震災ガレキの受け入れ開始
神奈川県の黒岩知事は去年12月、「地元の理解を前提に、横須賀市にある県の産業廃棄物の最終処分場で焼却灰を受け入れたい」という考えを示しました。個人的に、震災から1年を経ても遅々として進まない復興に正直がっかりしているところもあるけれど、それでも思うのは震災復興を「錦の御旗」にしてはいけないということ。
しかし処分場のある横須賀市大楠地区の住民が反発し、先月、知事に計画を撤回するよう求めました。これが伝えられると全国から批判が殺到し、横須賀市に寄せられた非難や苦情は100件を超えるという異常な事態が続いています。
「被災地の支援をしないとは何ごとだ!」というような集団ヒステリーとも言うべき雰囲気を作ってはいけないということ。それは思考停止に他ならないと思う。
大楠地区は、なぜ受け入れ拒んだのでしょうか。取材を進めると、廃棄物処理を引き受けてきた長年の苦しみと、県の進め方のまずさというふたつの理由が浮かび上がりました。こうしてみると、大楠地区には長年に渡る負担があった背景が見えてきます。
(中略)
大楠地区は農漁業が盛んで、ベッドタウンでもあります。この地区には、心ないメールにあった「自分だけが良ければよい」どころか、誰もが嫌がる施設を受け入れ続けた歴史がありました。
まず昭和51年に横須賀市のごみの埋め立て場を受け入れました。当時は処理が不十分で汚染された黒い水が流れ出したり、カラスやハエが大発生したりするなど深刻な環境汚染に苦しみました。ごみの受け入れは当初10年間という約束でしたが、結局22年間に及びました。それが終わると今度は県の産業廃棄物処分場を引き受けさせられました。
それが今回、焼却灰の受け入れが検討されている施設です。
(中略)
さらに現在、市が新たなごみ焼却施設を作りたいと提案し、受け入れる方向になっています。
こうした経験を重ねた地元の人たちには、どういう問題であろうと「ゴミ処理施設をめぐるごたごたはもうこりごりだ」という切実な思いがあったのです。
そして記事は、大楠地区が「受け入れ拒否」に至ったもう一つの(そして直接的な)原因として、県内限定とする持ち込み範囲と、県と地元とで直接協議するというこれまでの約束が反故にされたことに触れています。
黒岩知事は去年5月にいったん受け入れ方針を示しましたが、このときも、12月にあらためて表明したときも、県から地元の大楠地区に事前の相談はありませんでした。町内会長や自治会長たちは憤慨しましたが、それでも被災地の窮状に心を痛めていたため、県が呼びかけた地元説明会に足を運びました。しかしこの説明会は混乱を極めました。黒岩知事も悪気があったわけじゃないのだろうけど、こうした背景を見るといささか先走った感が否めないのでは。
町内会長などは、知事と大楠地区の人たちだけで話し合いたいと希望していましたが、ほかの地区や市外からも大勢の人が詰めかけました。予定の倍以上の人であふれ、肝心の地元町内会長たちは会場に入れませんでした。
(中略)
そして地元の人たちが一番知りたかった、持ち込まれる焼却灰の安全性の根拠や処分場の敷地にある活断層への備えなどについて、知事や担当者から納得のゆく説明を聞くことはできませんでした。
きのう黒岩知事に話を聞きましたが、知事はこれまでの進め方に問題があったことを認めたうえで、新たな案がまとまったら地元の人たちに対して「すべてのことをお詫びしたうえで、丁寧に説明をしたい」と話しました。大楠地区の歴史的背景にまで踏み込んだ報道がどれほどあっただろうか? 少なくともぼくは覚えがないのです。揉めてるなあという印象があるくらい。その視点は県側なのですね。
ちょっと引用が過ぎてしまったけど、、、受け入れを求める側、受け入れを求められる側と、双方の事情・背景を取材したからこそ見えてくる経緯と事情があります。
やはり一方からの見方だけではダメだし、感情論に陥ってしまってもいけない。
神奈川県のケースも最終的には「決める」しかないわけだけど、結論に至るまでの当事者双方の対話はないがしろにはできない。そして報道を通して情勢を知るぼくらも、それが一方の都合に偏っていないか、考えを及ぼすことが必要でしょう。
当事者双方の背景を取材した上で論説する、また追跡取材を続けて伝える、という姿勢があるメディアは(盲目的にではなく)信頼できると思います。
自分の考えの表し方もそうでないと、と自戒を込めたエントリーでした。
▼関連エントリー
・東京都、震災ガレキの受け入れ開始