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2011 .12 .17

放射性物質汚染水の海洋放出、法的には「なかったこと」に。

保安院 海への汚染水 ゼロ扱い(東京新聞)
福島第一原発事故で、何度も放射性物質を含む汚染水が海に漏出したが、経済産業省原子力安全・保安院は「緊急事態」を理由に、法的には流出量は「ゼロ」と扱ってきたことが本紙の取材で分かった。今後、漏出や意図的な放出があってもゼロ扱いするという。
「ゼロ扱い」という見出しは少し煽り気味かな。保安院は核燃料物質をみだりに取り扱うことによる罰則の適用対象とする/しないという観点において、「海洋放出の正確な量なんて分からない。だからなかったことにする。だから(とりあえず)罰則なし。」という判断に至ったのだと読み取りました。

だからこそ、そもそも年度が変わるとゼロカウントになるわけですよね。
原子炉等規制法により、電力事業者は、原発ごとに海に出る放射性物質の上限量を定めるよう決められている(総量規制)。福島第一の場合、セシウムなどは年間二二〇〇億ベクレルで、年度が変わるとゼロから計算される。
とはいえ、計測できないほどの大規模なトラブルに際してもうお手上げ分からないというのは職務怠慢ではないですか? >保安院さん
保安院は本紙の取材に対し、事故への対応が最優先で、福島第一は損傷で漏出を止められる状態にない「緊急事態」だった点を強調し、総量規制を適用せず、四七〇〇兆ベクレルの漏出をゼロ扱いする理由を説明した。
原発の外に漏れ出た放射性物質の総量4,700兆ベクレルという数字も東電による試算。規制上限値の2万倍を超える量であっても海外からは過小と見られている数字を、監督機関である保安委は検証しないの?
今後、仮に放射性物質を含んだ処理水を放出したとしても、ゼロ扱いを続けるという。
今後も特例としてゼロ扱いを続ける=仕事しないということ?

もちろん漏出や放出の計測だけが保安院の仕事ではないでしょう。けどだからといって優先度の低い仕事なんですか? 「緊急事態」で得するのは東電だけじゃない?

少し煽り気味だけど、こうした役所の仕事ぶりを報じてくれた東京新聞グッジョブ。
そして、こうした仕事ぶりの中で出された冷温停止宣言にどんな意味があるんでしょうか。そりゃあアメリカ、イギリスそして中国も突っ込みますわ。
海外メディア 冷温停止を疑問視(NHKニュース)
アメリカの新聞、「ニューヨークタイムズ」は、電子版で「専門家は『冷温停止状態』の宣言を強く疑問視している」としたうえで、「年内にステップ2を達成するという公約を果たすための、現実を無視した宣言であり、原子炉の安全性への脅威から目をそらせることがねらいだ」とする専門家の見方を伝えています。また、イギリスのBBCは、野田総理大臣の記者会見の模様を生中継で放送し、「冷温停止は1つの節目だが、それは汚染された地域の除染や福島第一原発の廃炉といった今後の長い道のりの中の一歩にすぎない。避難を余儀なくされている人々が故郷に戻って普通の生活を始められるめどは立っていない」と伝えました。このほか、中国国営、新華社通信の英語版は、複数の専門家の話として、「損傷した原子炉内の温度を正確に測定することはできず、原子炉がどれほど安定した状態にあるかを断定することはできない」としたうえで、「世界の人々に間違った印象を与えるおそれがあり、日本政府は、ステップ2を年内に達成するということに固執しすぎるべきではない」と伝えています。
大災害においても暴動や略奪がほとんどなかったとして賞賛された国です。
世界の信頼を損なわない仕事をしてくださいお願いします。

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