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2009 .10 .27

「松丸本舗」オープン

書店の中に個性派書店 目利きが選んだ本ずらり(asahi.com)
丸善が23日、東京駅前にある丸の内本店4階の一角にオープンさせたのは「松丸本舗(ほんぽ)」と銘打たれた“書店内書店”。2千冊以上の本の魅力を伝える書評サイト「千夜千冊」の執筆者、松岡正剛氏がプロデュースした。街の小書店ならすっぽり入るぐらいの約215平方メートルに、松岡氏が選んだ約5万冊が並ぶ。
松丸本舗

» 10月23日 松丸本舗 丸の内本店4階にオープン!(丸善)

すばらしい。単に書籍のセレクトに留まらず什器やレイアウトにも拘ったわけですね。

丸善の社長が仰る「書店はこれまでさぼってきた。個性がなく規模に頼っていた」というのはその通りですね。委託販売に甘え、粗造乱造の出版洪水の中で読者ニーズを汲み取れてこなかったからこそ、アマゾンのレコメンド程度に読者は流れてしまったわけです。もちろんロケーションにとらわれないECの有利性もあるものの、やっぱり本は手にとって見てなんぼだと思うんですよね。
松岡氏のコンセプトは「本の連続性」。ジャンルや形態、著者別での陳列を離れ、本が持つ世界の広がりを感じさせる独創的な選書と陳列が特徴だ。らせん状に並ぶ書棚の内側は、千夜千冊の掲載本を軸に2万冊の書籍や雑誌、マンガなどが独自の分類で関係づけられて並ぶ。その外周に「日本が変わる」のテーマでジャンルを超えた特集が組まれ、さらには、松本清張の蔵書棚や、作家の町田康、女優の山口智子といった読書家の書棚も再現する。
目的物をただ買うだけならまだしも、協調フィルタリング程度じゃこの圧倒的な「知の連鎖」は再現できないです。ベイジアンフィルタであってもまだまだ厳しいでしょうね。しかもサムネイルを並べた平坦なディスプレイ上では、商品陳列は出来てもこの臨場感は出せない。本屋の醍醐味は棚にあるのです。

「松丸本舗」の取り組みを受け、他の本屋でも様々な取り組みが模索されて、ベストセラー偏重の平台勝負から抜け出す一助になればと期待しています。

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コメント (2)

かたな:

本は本屋で中を見ないと買えませんね。

なぜって、
1)物書きさんが、だいぶひどくなってきているから。
 内容が全然無い本はお金出せません。
 しかも2番煎じが、多いこと。

2)万人向けの本屋さんばかりで、
 コンビニの雑誌コーナー
 を3倍にした感じでだけの店舗。
 本屋さん探しをしなくてはと思います。

自分に合った本屋さんは昔は3軒くらいありましたが、
今は、1軒もありません。近いのは有るけど、
すべてではないです。

書店の経営状態考えると、
無理もないのかも知れないですが。

本の出版される種類が多いでしょうから、
万人に合うようには仕入れられないですものね。

電子本屋さんが、出来て、検索しやすくなりましたが・・。
良いのか悪いのか、わからんけど。


かたな さん

コメントありがとうございます。

ご指摘のところ、ごもっともです。仰っているのは「本読み」の姿勢ですね。

本には、アーカイブされる資料としての価値と、娯楽として消費される価値と、2つの価値があると思います。ご指摘は前者が希薄化してるということですよね。

売上を即計上したい出版側、小売り側からすると後者が手っ取り早いわけですが、もはや偏りが大きすぎてしまってますね。図書館であっても所謂ベストセラー偏重の仕入れとなっている面もあるくらいですから。

売上(資金)がなければ作りたい(書きたい)本も作れない(書けない)し、売上だけに目が眩んでは読者は離れていくでしょうし。何事もバランスが大事だと思います。

まあ消費価値ばかりの本が大量に目に付く現状は、しょうもないバラエティー番組ばかり垂れ流すテレビに似ています。そのテレビ局も、多くの出版社も赤字に喘いでいるというのは皮肉ですね。


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