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2009 .08 .25

国会図書館の「書籍ネット配信」構想

国会図書館、書籍をネット配信へ--利用料は1冊数百円程度に(CNET Japan)
Googleブック検索やAmazonのなか見!検索など、書籍の中身をインターネット上で検索できるサービスが始まっている。6月には著作権法が改正され、国立国会図書館が図書館内の資料をデジタル化できるようになった。今後はこのデジタル化した書籍をインターネットを通じて誰でも利用できるようにする考えだ。
ARGが開催した「この先にある本のかたち-我々が描く本の未来のビジョンとスキーム」というイベントで、国会図書館長の長尾さんが発表した「ディジタル時代の本・読者・図書館-我々の創造性を高めるために」という発表内容を軸にした記事だけど、かなり興味深い。

国会図書館の蔵書をデジタルデータ化した上でネットを通じて閲覧できるようにする、という構想はすばらしい。当面ムリだろうと思ってたので。
(2009年6月の)著作権法の改正に伴って国立国会図書館が書籍をデジタル化できるようになった
評判の悪いあの改正にこんな項目があったのは知らなかった。この国としては画期的ですよね。

ちなみに、
また7月の国立国会図書館法改正によって、国や地方公共団体、独立行政法人などのサイト情報もデジタルデータとして保存できるようになった
こちらの改正を受けて、当初は「インターネット上の情報すべてを保管」する構想もあったものの、「信頼できるもの、できないもの、いかがわしいものなど、ウェブ上にはいろいろなデータがある。それを全部集めるのが適当なのかという議論があり」全保存ではなく、サイトの選別を行う方向になったとのこと。インターネットアーカイブとは逆の方向性になったわけですね。

» Internet Archive

まあ国立図書館が運営主体では無理からぬ話しでしょうけど。

さて肝心の蔵書閲覧について。まだ決定ということではないようですが、「デジタル化した書籍のデータを国会図書館や公共図書館内では無料で公開する一方、館外に配信する場合は一定のアクセス料金を課す」方向性の模様。アレ? 館内・館外で料金が違う? かなり長いけどここポイントなので引用します。
長尾氏の案はこうだ。まず、「電子出版物流通センター」という団体を設立し、国会図書館から無料で貸し出された書籍データを館外の利用者に配信する。その際、利用者からアクセス料金を徴収する。料金については、「交通費に相当する適当な金額」(長尾氏)といい、数百円程度となる見込みだ。その徴収した代金は、電子出版物流通センターが出版社などの権利者に分配する。さらに、書籍閲覧サイトに広告を掲載し、その広告料金を権利者に分配する考えもあるという。
「アクセス料金」てか素直に「閲覧料金」って概念でいいと思うんだけど。

出版社から無償で提供される蔵書を閲覧するのにおカネを取るのか、って議論はあるかも知れないけど、運営コストの補填や、それこそ出版社や著者への還元原資と定義すればいいのでは。

そもそも利用料を「交通費に相当する適当な金額」と位置付けたのでは、東京・大阪と他の地方の間に格差が生まれるわけだし。いっそデジタルデータの閲覧は館外(ネット)だけってした方が分かりやすいんじゃないかなぁ。意図を読み違えてる?

国会図書館という立場上、色んなステークホルダーの調整に注意を払うのは仕方がないけど、全国から利用できるというユーザー目線で検討して欲しいですね。

指定討論には津田さんや橋本さんが参加されてますが、指摘する論点がさすがです。
津田氏が考える出版社の役割とは、読者と執筆者をつなぐファンクラブのような「情報中間業」だ。読者が興味を持っている著者の今後の活動や、著者のおすすめ、読者が興味を持ちそうなイベント情報などを伝えることが求められてくるだろうとした。
そうそう。特に中小の出版社においては、単にコンテンツを企画して紙のパッケージを流通(読者に届ける)する機能だけではなく、読者と双方向性を持つ機能が必要とされてきている印象が強いです。商品企画にしても出版後のフィードバックにしても。橋本さんの、
インターネットであらかじめ情報を発信して読者を集め、直販で売るようなモデルを導入すれば、印税を多くすることは可能なのではないか
という考え方は、コンテンツ・著者の発掘と育成、編集に出版社のリソースを集中することで、売れるか売れないかよく分からない商品企画と資金繰り目的の出版点数増加に一定の効果を期待できるのではないかと。

ぼくが知ってる限りで似たようなコンセプトでいるのはハブメディアくらいだけど、アレは少量多品種を基本的なコンセプトにしてるようなので(売れ行きによっては多量多品種に成長する可能性もあるけど)、もうちょっとスケールするコンセプトが必要かも。

» ハブメディア.jp

個人的には可能性を感じてるのであちこち言って回ってたりするんだけど、どうも感触が悪い。業界紙のひと曰く「実績が出来てからでないと紹介できないですよねぇ」なんて言うし。基本的にどこも様子見って姿勢なんだけど、自分から動かなきゃ変わんないですから。ウマミが少ないと感じるのはあくまでも従来の出版社でしょう。

何のチカラもない個人でしかないけど、本や出版業界はやっぱり好きなので何とかしたいんですよね。まずはハブメディアの啓蒙をゲリラ戦で続けていこうかと。
業界の問題点やアクションプランが公開されてるだけでも価値があると思うし。

読者のベネフィットと出版業界の変革(のキッカケ)が出版社とか本屋以外のプレーヤーから出てくるのはちょっと残念だけど、やっと面白くなってきそうな予感。

相変わらず言いたいことがあちこち飛んじゃってまとまりないなぁ。。。

▼参考リンク
8月17日(月)第1回ARGフォーラム「この先にある本のかたち」(長尾真国会図書館長×金正勲・津田大介・橋本大也)への招待(ACADEMIC RESOURCE GUIDE ブログ版)
ARGフォーラム公式サイト(argforumsite)
国立国会図書館

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