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2009 .02 .22

広告の画面占有が行き着く先

ヤフー VS グーグル--見られるリスティング広告はどっち?(CNET Japan)
前回の記事にて、ユーザーが「見る広告」「見ない広告」について検証しました。その中で、「Yahoo! JAPANの旧デザインではリスティング広告が見られていないが、新デザインではどうだろうか」という疑問を投げました。今回はそのリスティング広告について、再度検証しました。
アイトラッキングを用いてGoogleとヤフーとでリスティング広告の効果を比較した記事。

リスティングという「手段」において、「見られているか見られていないか」を論じてる点は興味深いんだけど、この記事はそもそものトコが欠落してるという印象。

記事のまとめで、ヤフーはより自然な検索結果に近いデザインで広告を掲載してるのでユーザーが広告を避ける心理が軽減された、なんて書かれてる。
リスティング広告欄のデザインが、よりオーガニック検索結果のデザインに近づいたことで、ユーザーの持つ広告苦手意識が払拭され、心理的ハードルが下がった
手段や技術としてはそういう面もあるかも知れない。あわせて「おもてなし」を引き合いに出して「ユーザーの邪魔をしないこと」まで提言している。
リスティング広告においては「どれだけ目立ってユーザーの視界に入るか」ではなく、「ユーザー行動の邪魔をせず必要とあらば情報を提供する」というスタンスが、今後のウェブにおけるおもてなしを考える上でも必要なのかもしれません。
なのになぜ、いまだ圧倒的に多いと見られるXGA(1,024×768)のディスプレイ表示だとファーストビューで広告しか見えなくて、オーガニックな検索結果は縦スクロールしなきゃ見えないようなYahoo! JAPANのデザインが良しとされるような論調なんだろ。

たしかにgoogleよりもヤフーの方がコンバージョンはいい(その分入札単価は高いことが多いけど)。広告を出稿する側にとってみれば集客してコンバージョンしてくれて、ユーザーが自サイトに定着してくれてなんぼなので、リスティング広告が「見られる」のはほんの入り口。それをどう見られるようにするかは手段の問題であって、ユーザーが来てくれるところに広告しか見えないような環境を提示するのは間違ってると思う。

広告を売る側にしてみれば今売れるためのことだろうけど、テレビCMと違ってリスティングなんかはまだまだ一般的には広告と認知され切ってないと思うよ。そんなユーザーがまだまだ訪れてる中、デザインと表示面積でユーザー導線を塞ぐような広告の売り方(見せ方)を続けていったら、遅かれ早かれ圧倒的に見られてるけど意識的には見られてないようなテレビCMと同じことになるんじゃないだろうか。

テレビCMとか、使い方を誤ればユーザー離反を招くリスクを抱えた諸刃の剣「行動ターゲティング」まで踏み込んじゃうと収集が付かなくなるのでここでは書かないけど、ユーザー目線に立ったような論調のようで、実は広告の売り手側の論理で効果だけを論じてる。そんな気がしてならない記事でした。

まあこの記事はアイトラッキングという手段の効果を論ずる連載であって、「顧客本位」とかのマーケ戦略を論ずる場ではないんだけどね。

ただ、世の中には手っ取り早くおカネになる手段だけを探してる連中も多くて、そういう人たちが「デザイン目立たなくすればいいんじゃん、表示面積大きくすればいいんじゃん」って短絡的思考で行動しちゃう一助になってしまうのを危惧してます。

▼参考リンク
SEOが無意味になる。infoseekが示唆する未来(Web担当者Forum)

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