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2008 .05 .30

「ヤンサン」休刊

ヤングサンデー休刊 「クロサギ」、「Dr.コトー診療所」は…(MSN産経ニュース)
小学館(東京)は30日、漫画誌「週刊ヤングサンデー」を7月31日発売号、女性漫画誌「Judy」を8月23日発売の10月号をもって休刊すると発表した。
小学館コミック 週刊ヤングサンデー先週、ヤングサンデー:小学館「休刊を検討」って記事が出ていたけど予想以上に早く、正式に休刊が発表されました。

「ヤンサン」と言えば大手だし、ほぼ欠かさず「鉄腕バーディー」は見てたんだけどなぁ。まあ「ヤンサン」本誌は休刊するものの連載は他誌への移行を検討中とのことですが。

しかし漫画そのものの人気がなくなっての休刊というわけではなく、あくまでも雑誌の発行部数(≒実売)の落ち込みが休刊に至った原因とのこと。
「読者は自分の好きな作品だけを単行本で読む傾向が強く、それが雑誌の部数の低迷につながった」
てことは単行本は売れてなくはないわけですよね。自分が好きな漫画は買うわけだ。てことは漫画そのものがなくなったら読者は困るわけで。

そう考えると漫画雑誌の意味、価値って何なんでしょうね。

読者からすれば漫画情報の最新カタログ、出版社からすれば連載やそれ以外の読みきり作品、新人作家の作品を知ってもらう機会と、広告収入媒体といったところでしょうか。

「週刊少年ジャンプ」以外、ほとんどの漫画雑誌の表紙はグラビアアイドルのオンパレード。それは大量の発行部数から得られる店頭での接触機会にタレント事務所側が価値を見出してるから成り立っている。でも発行部数が落ち込めば媒体価値は毀損していく。それは広告媒体としての価値とも等しいわけで。

ananとかのファッション誌は雑誌の実売よりも広告収入で成り立っている収益構造だけど、漫画雑誌はほとんど広告スペースがないので実売の増減は収益に大きく影響する構造なんだろね。
だからといってあまり漫画雑誌に広告が増えて欲しいとは思わないけど。

漫画そのものが売れないわけじゃないけど、漫画の最新カタログ的な位置づけの漫画雑誌はいらない。少なくとも買う必要がない。立ち読みはするけど。そんな動機が消費者(読者)にはあるんだろうね。まあぼくがそうだし。

じゃあ単行本は安泰かっていうと、雑誌がなくなるとそもそも新作を知る、触れる機会が減る。そうすると見てみれば気に入って買うかも知れない漫画があっても、その存在を知らずにいてしまうかも知れない。そうすると認知と購買機会の損失が出てきてしまう。

インターネットがすべて代用できるとは思わないけど、出版社は紙を店頭に陳列する以外の認知・接触媒体を作っていかないといけないんでしょうね。

あ、あと読みきり短編とか短期連載とか、単行本の収録内容未満の漫画が行き場をなくしてしまうなぁ。
書くからにはすべて連載規模で、ってのも作家さんの負担が大きだろうし。

ケータイコミック配信とかが代用媒体になっていくんでしょうかね。紙に比べればランニングコストも安くてすみそうだし。速報ベースではケータイやパソコンで、気に入ったら紙の単行本を買えばいい、とか。

漫画雑誌は(だけじゃないけど)ビジネスモデルの折り返し地点に来てるのかも知れません。

▼参考リンク
週刊ヤングサンデー

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