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2007 .11 .06

エクスメディア倒産

IT書籍のエクスメディア倒産――負債は11億(RBB TODAY)
31日、エクスメディアは東京地方裁判所に自己破産申請を行った。負債は11億円としている。今後の処理については専任の弁護士があたっているが、管財人はまだ決定していない。
エクスメディアと言えばパソコン初心者向けに4色カラーと図解でアプリやOSの使い方を分かりやすく解説した『超図解シリーズ』が知られてますね。

もともとソフトバンク出版事業部(その後ソフトバンクパブリッシングを経て現在のソフトバンククリエイティブへ改組)で「超図解」コンセプトの原型になった図解解説書シリーズを作っていた工藤さんが、もっと自分でやりたいことを実現するために出版社を立ち上げたのがエクスメディアだったと記憶してます。

本屋の平台(テーブル型の陳列台)を買ったり、とにかく大量に送品してくるなどこれまでにない(良くも悪くも)積極的な営業手法をとった出版社でした。

見たところアマゾンビーケーワンもまだ在庫を持ってるみたい。まあ出版社が倒産して返品ができなくなって小売店の不良在庫になるから返品できるうちに返しとけってアクションを取るわけなんだけど、スジとしてはどうかなって思うわけです。本来書籍は発行されてから3ヶ月(だったハズ)経ったら返品できないので。で、その返品が追い討ちになって出版社に止めを刺す、と。

もちろん知らないうちに出版社が倒産して返せる在庫も返せなくなりました、では本屋もたまったものではないけど。やっぱり勝手に送品できたりいつでも返品できる出版流通のなあなあな慣習がよろしくないと思うのですよ。

新参ものの出版社はとにかく知名度がないので大量に刷って大量に送品して売り場面積を(一瞬でも)確保して商品認知度を上げようとする。本屋はいつまでも陳列できる場所もないので返品する。出版社は返品相殺で請求される前にまた送品してキャッシュフローを確保しようとする。まさにどこもかしこも自転車操業。

その自転車の輪が止まった途端、こういうことになる。上記のサイクルが繰り返されてるのはアマゾンやビーケーワンに2007年11月付けの新刊が入荷してることでも分かりますね。事前に止められたことじゃなかったわけです。

規模の大小に関わらずこの構図は基本的にどこも一緒。売れるか売れないかの計画性より送品量・返品量の計画が優先されてる業界。

エクスメディアはカラー刷りと低価格を売りにしていたので製造原価も高かったはず。なのでコンピュータ書籍だけじゃなくて刑法とか貿易といった他ジャンルまで手を広げないとネタ、というか刊行点数を補えなかったんだと思います。

ホント今にはじまったことじゃないけど、出版社はどれくらいニーズがあるかテストマーケティングをもっと進めるなり、瞬発力だけじゃなくて長く売れ続ける内容のラインナップを増やすなりしなきゃダメですよ。

本屋もパターン配本に依存して「売れる商品が入らない」とかぼやいてないで自分の目で仕入れて売り切る努力をしないと。

編集さんとかライターさんは他の出版社に移ったりして本質的な構図は変わらないでいるので、委託配本の構造を変えていかないと(今でもだけど)この業界、どんどん中が腐っていく。そうしたら結局良質な本が生まれなくなってしまう。

そしたら結果的に困るし、悲しむのは「読者」ですよ。

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