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2012 .06 .03

「脱原発」に必要なこと

大飯ぐらいは働かさなきゃダメか?(日経ビジネスオンライン)
大飯原発が再稼働するようだ。
昨日(5月31日)からの報道を見ていると、「再稼働は既に決定事項」という扱いだ。各メディアとも、そういうニュアンスの伝え方をしている。
ふわりとした口調で核心を突いてくる小田嶋さんのコラムから。
振れ幅の大きい出来事は、事態が決着した時点から振り返ると、茶番劇に見える。
今回の例で言うなら、再稼働ははじめから決まっていた話で、これまでの紆余曲折は、ここに着地するための、伏線だったということだ。
あれよあれよと橋下さんも周辺自治体の首長も再稼働に転じたことで、大飯は再稼働するでしょう。ここに至る時間は責任のなすりつけ合いばかりで不毛なものでした。

再稼働を容認して万が一事故が起きたら責任を問われる。だから絶対の安全(そんなもの誰にも保証できないって分かってるのに)が保証されるまでは容認できない。
けれど国が要請するなら(責任を取るなら)再稼働もやむを得ない。

これまでの周辺自治体の首長たちの発言からは、そんな筋書きが見えてきます。
そんな中で敗北宣言をしてまで再稼働容認を表明した橋下さんは潔いといえば潔い。
(それはまったく本質ではないのだけれど)
原発の再稼働を決めてかかっていた人たちは、議論が泥仕合になる展開をはじめから予想していて、だからこそ一般の国民が、泥仕合に疲れる頃合いを待ちかまえていたということだ。
残念なのは、再稼働した(←すでに完了形で語っています)ことそれ自体ではない。
本当に残念なのは、再稼働に当たって、うちの国の原子力政策の将来像がまったく提示されず、稼働を許すための条件も課されず、ひとっかけらの約束すら掲げられていないことだ。
「再生可能エネルギー」というキーワードは飛び交うものの、国はエネルギー政策のグランドデザインたる将来像を未だに描けていないじゃないかと思う。できるところからソーラーパネルの設置の進めている民間の方がよほど現実的じゃないですか。
本来なら、私たちは、再稼働に当たって、「どういう位置づけの中でこの原発を動かすのか」について検討するべきだった。

が、そういう議論は出て来なかった。
そう。こうして国の姿勢を批判するのは簡単だけど、政府や国を支持するかどうかを決めるのはぼくら国民です。ぼくら自身が再稼働の「是非」だけに着眼していなかったか、振り返る必要があるでしょう。大事なことは現実的に、どう進めるか。

たとえ今が円高基調ではあっても、コスト構造を思いっきり原発に振っている今の電力会社が、すべての発電を石油や天然ガスに置き換えることは、すぐにはできない。
なので太陽光なり水力、風力、地熱への移行、あるいは発電の仕組みそのものの再設計にしても段階的に進めざるを得ない。もう電気がない生活はあり得ないですもの。

だからぼくらは、原発のリスクを恐れ、いまだ放出される放射性物質に注意を払いながら、今しばらく原発の稼働を受け入れていかなきゃいけない。そうした中でこの国のエネルギーの将来像を描いていくことが大事なことだし、ぼくらの責任でしょう。
今後、原発は、順次動き出すのみならず、日本経済の不可欠な前提条件としての地位を、徐々に取り戻すのかもしれない。そして、われわれの中で福島の事故についての生々しい記憶が風化した頃、新しい安全規格を謳う新しい原発の建設計画が立案され、それらの楽観的で前向きな新しいエネルギー政策は、20年後の日本人から後ろを振り返る気持ちを奪って行く。ありそうな話だ。
この国は、核爆弾による敗北のわずか9年後に原発を保有することを容認した。
そして最初の原発稼働から46年後に起きた、放射性物質の大量放出事故。

この取り返しの付かない愚行を、繰り返しちゃいけない。

▼関連記事
日本の原子力発電とCIAの関係(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)
原発の再稼働――政府は経済を下支えするために必要なステップだとしている――については、国民が原発の安全性に対して疑問を呈するなか、政府は政治的に難しい判断を迫られることになる。

約60年前の日本政府も同じような問題を抱えていた。第2次世界大戦で米国が広島と長崎に原子爆弾を投下したわずか9年後だというのに、原発の保有国になるという野望の支持を得るために、どう国民を説得すればよいのか、という問題だ。
有馬氏が発見した資料によると、正力氏はCIAの後ろ盾を得て、自身の影響力を使い読売新聞に記事を掲載し、原発の利点を称えた。有馬氏によれば、日本の再軍備に熱心だった正力氏は、原発がやがては独自に核兵器を開発する能力を日本にもたらすことを期待し、原発を推進したという。正力氏の水面下の動きは他のメディアへの連鎖反応を起こし、ついには世論を変えることになった。

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