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2012 .02 .25

「若者は消費しない」のではなく、「消費したいものがない」だけ

マーケターに見えていない若者たち(CNET Japan)
若者論と言われる分野では「若者は非正規雇用も多くて、就職も厳しくて…」と若者が「かわいそう」な存在として語られることが多かった。しかしニュートラルに2012年に生きる若者を切り取ってみれば、そのような「若者かわいそう論」が疑問に思えてくる。
ああそうだよな、と自分が持ってる感覚をうまくテキストにまとめてくださっていて腹に落ちた記事。
最近の日本は「閉塞感」とか「不況」とか、ネガティヴなキーワードと共に語られることが多い。しかし、日本の歴史上、現代ほど豊かな時代はないと思う。
そう。すでにモノは充足してしまった(物質的な)成熟社会がいまの日本。
しかも長く続くデフレで、モノの価値が相対的に下がる傾向が続いてる。

ぼくらの世代はテレビこそカラーだったけど、チャンネルを「回してた」し、電話のダイアルをじーこじーこと「回してた」。ポケベルからスマホを手にしてきたし、黒い背景に緑の英字だけが映し出されるコンピュータや、ピポパポピーとダイアルして接続するインターネットを経て、流麗なグラフィクスと常時接続・高速なインターネットを手にするに至ってます。クルマや家は昔も今も高嶺の花だけどね。

振り返ってみると、こと個人の時間の過ごし方にかかわるモノはずいぶん新しい概念・アイテムが増えました。いまの中高大学生あたりのコたちは、こうしたモノが当たり前にある時代に生きている。ぼくらがスゴいと感じたモノが当たり前の時代。
実は若者の可処分所得自体はバブル期とそれほど変わってはいない。当時は将来が右肩上がりだと思っていたからお金を使えたけれど、今はそうは思えないからお金は使えない。しかし「若者の○○離れ」というのはマーケターの言い訳だと思う。
可処分所得の部分は具体的なソースを示して欲しかったけど、感覚としては同意できるし、何より「若者の○○離れ」は言い訳というのはその通りだと思う。マーケターをメーカー、販売店なんかに読み替えても同じこと。

一応マーケティングの部署に属する身としては、自戒を込めて傾聴すべきところ。
「若者のクルマ離れ」とか「旅行離れ」とか象徴的ないくつかの事例だけを見て「若者は消費をしない」と判断するのは早計ではないか。海外旅行やクルマにしても、昔のパッケージのまま売り続けているから売れないだけで、やり方はいくらでもあるはず。
もはや高品質・高性能なモノが「あるだけ」では売れない。必要があって、払える範囲の金額じゃなきゃ買ってくれない気がする。売り手の価値観を(いくらCMで美麗に装っても)押し付けても買ってくれないでしょうね。
海外旅行もショッピングが付いただけのツアーを売るんじゃなくて、ボランティアやインターン形式のような海外ツアーは好調だ。自分探しも出来て、友達も作れて、就活のネタにもなる。そもそも海外に行く若者は、割合で見るとそこまで減少はしていないし、留学者はバブル期の数倍いる。
ボランティアやインターンツアーが好調なソースが欲しいところだけど、特にこの1年の寄付やボランティアに対する行動を見ると頷けるものがあります。

会社の新卒は若者とはいえ、アノ会社なりのバイアスがかかってるし、ハタチの子と接する機会なんてないけど、若者がどんな価値観を持ってるか話してみたいなあ。

そして改めて思うことは、20世紀型の産業を国として擁護する時代じゃないということ。クルマも電機も現状の金額は大きいけれど、国として育成・支援するのはソフトやネット産業にシフトしていくべきだと思うのです(ケータイゲームはさておき)。

少子高齢社会において、肉体労働から知識労働への移行は必然ではないでしょうか。

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