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2005 .04 .22

『渋谷ではたらく社長の告白』藤田 晋・著

サイバーエージェント社長、藤田晋。年商260億円を超えるネットベンチャー企業を率いる31歳。社名も名前も(まだ)あまり知られていないかも知れません。女優・奥菜恵と結婚した青年実業家と言えば、聞き覚えがある人もいるのではないでしょうか。

この本は、ネットバブルの渦中に身を投じ、時代の寵児と書き立てられながらも挫折と失意を経験し、しかし、狂おしいまでの情熱を持って成功を掴み取った一人の若者の半生を自ら書き記した半生記です。

ライブドアの堀江社長と親交が深い藤田社長は、技術の堀江、営業の藤田として対比されます。年も1歳しか変わらず(堀江氏が1つ上)、上場前の時期、サイバーエージェントとライブドアは様々な事業で協業しパートナーシップを築くことで互いに力を付けてきました。

堀江社長と同列で捉えられることで、藤田社長を「ネット起業で成功した億万長者」と見る向きもあるでしょう。
現に彼は26歳の若さで300億円を超える資産を持つに至りました。

「世界が違うよ」「ネットのことはよく分からないし」「東京の話でしょ?」
書名にも『渋谷ではたらく』とあるので、こういった見方もあるかも知れません。しかし、彼が行ってきたことは、とても泥臭く、まったくスマートなものではありませんでした。

週に110時間がむしゃらに働くことを自分に課し、全ての時間と体力を仕事につぎ込んだ20代。それは自分に対しての投資と位置づけて、あくまで自分の描いた夢──「21世紀を代表する会社をつくる」──を実現するための手段でした。

普通の青年が友人や彼女、趣味に打ち込んでいる時、彼はひたすら仕事に邁進していました。会社に泊まりこみ、たまに自宅に帰っても寝るだけの生活。
若さだけを唯一の武器に──。生来の勝負師的直感で実行に移す行動力と愚直な働きぶりで、サラリーマン生活も1年ほどで念願の起業が、しかも社長というポジションで実現することになります。

しかし。
仲間を、恩師を裏切ることになった独立起業。
悲願の上場後にはネットバブル崩壊の憂き目にあい、株価は暴落。そして社員は離反し、投資家やマスコミからは一転して非難を浴び、会社売却さえも考えざるを得なくなる状況に陥る。

この苦境の描写は非常に生々しくも、経験者でなければ理解し得ないであろう重さを持って綴られています。

幾多の困難の中、USENの宇野社長、グローバルメディアオンラインの熊谷社長、ライブドアの堀江社長、楽天の三木谷社長、あるいは村上ファンドを率いる村上世彰(よしあき)氏らとの出会いと交流。
彼らの鼓舞と支えがあったからこそ、藤田さんは「今がある」と述べています。

そして苦境の極みに陥っていた時期に女優・奥菜恵と出会います。
藤田さんをして「妻は私の仕事に関して、もう容赦なく訳がわかっていない状態でした」と言わしめるほど奥菜さんは普通の女性として藤田さんに接します。

「仕事が忙しいから今週末はちょっと無理かな」
「え? どうして?」
「いやだから仕事が……」
「だから、どうして?」──

仲間を裏切ってまで叶えようとした自分の夢を掴むため、逆説的だが、自分を、青春という時間を割いて突っ走ってきた若者は、今一人の青年としての幸せを手にすることができた。

サイバーエージェントは株価下落の悪夢の3年を経て、2004年9月期、初の黒字決算を発表した。利益を出す構造へ転換しさらなる成長を遂げるステージへとやってきた。

夢は叶えるためにある。

狂おしいまでの情熱の捧げ方。

夢と希望、理想と情熱。そんな「青臭い」ながらも人のココロを惹き付けてやまない想いを内包した1冊です。

明日に疲れている人にも読んで欲しいですね。

渋谷ではたらく社長の告白
藤田 晋著
アメーバブックス (2005.6)
通常24時間以内に発送します。

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